退職金手取りシミュレーション|税金を無料で計算する方法とiDeCo・小規模企業共済の実例付きで解説!

当ページのリンクには広告が含まれています。
退職金手取りシミュレーション。退職金・iDeCo・共済が重なるときの税金と手取りを無料で計算できることを示すアイキャッチ

「退職金の手取りって、結局いくらになるの?」
「iDeCoや企業型DCと重なると、計算が合っているのか分からない」

個別相談でも、こんな声をよくお聞きします。AIに聞いてみたけれど、答えが合っているのか不安だった、という方もいらっしゃいました。

先にお答えします。退職金手取りは、「勤続年数で決まる控除」と「受け取る順番」でほとんど決まります。1件だけなら手計算もできますが、iDeCoや小規模企業共済が重なると、一気に複雑になります。

そこでは、一時金で受け取ったときの税金と手取りを確かめられる退職金手取り計算シミュレーションを作りました。無料で登録も要りません。

この記事で分かることは、次の4つです。

  • 退職金の手取りが決まる仕組みと、計算の3ステップ
  • 退職金2,000万円の税金は、勤続年数でいくら変わるか
  • シミュレーションの使い方と、実例2つ(退職金+iDeCo/自営業のiDeCo+小規模企業共済)
  • 10年ルール・20年ルールと、みなし勤続年数の考え方

※本記事は2026年11月6日時点の情報に基づいています。税額はすべて概算で、モデルケースは特定の個人の事例ではありません。個別の税額は、勤務先の担当窓口や税務署などでお確かめください。

目次

退職金の手取りはどう決まる?計算の3ステップ

退職金の手取りは「受け取る額−税金」で、税金は次の3ステップで決まります。退職金には、長く働いた人ほど税金が軽くなる仕組みがあります。

退職金の税金の計算3ステップ。退職所得控除を出す、控除を引いて2分の1にする、所得税と住民税をかける
退職金の税金が決まる3ステップ。出所:国税庁 No.1420 を基に筆者作成
  • ステップ1:勤続年数から、税金のかからない枠(退職所得控除)を出す
  • ステップ2:(受け取る額−退職所得控除)×2分の1 が、税金の対象になる金額
  • ステップ3:その金額に、所得税(復興特別所得税を含む)と住民税10%をかける
勤続年数退職所得控除例
20年以下40万円×勤続年数(最低80万円)15年なら600万円
20年超800万円+70万円×(勤続年数−20年)30年なら1,500万円
退職所得控除の計算式。出所:国税庁 No.1420 を基に筆者作成

勤続年数の1年に満たない端数は、1年に切り上げます。たとえば30年2か月なら31年です。役員としての勤続が5年以下の場合や、勤続5年以下の場合は、2分の1の扱いが違うことがあります。

退職金2,000万円の税金はいくら?勤続年数別の手取り

同じ2,000万円でも、勤続30年なら税金は約41万円、勤続38年以上なら0円です。勤続年数によって、これだけ変わります。

勤続年数退職所得控除税金(所得税+住民税)手取り
20年800万円約138.9万円約1,861万円
25年1,150万円約85.6万円約1,914万円
30年1,500万円約40.6万円約1,959万円
35年1,850万円約11.3万円約1,989万円
38年2,060万円0円2,000万円
退職金2,000万円を一時金で受け取り、ほかの受け取りがない場合の概算(筆者計算)

退職金1,000万円・1,500万円の税金は?

金額別の目安も並べておきます。退職金だけを受け取り、ほかの受け取りがない場合の概算です。

退職金勤続20年勤続30年勤続38年
500万円0円0円0円
1,000万円約15.1万円0円0円
1,500万円約62.8万円0円0円
2,500万円約219.7万円約108.5万円約34.5万円
3,000万円約323.8万円約186.2万円約99.3万円
退職金の金額と勤続年数別の税金(所得税+住民税)の概算(筆者計算)

ここで、大切な条件があります。これらの表は、退職金だけを受け取る場合です。iDeCoや企業型DCの一時金、小規模企業共済も受け取る方は、受け取る順番によって控除が削られることがあります。その計算を確かめるために作ったのが、次のシミュレーションです。

退職金手取りシミュレーションの使い方|3ステップ

使い方は3つだけです。退職金手取り計算シミュレーションを開いて、上から順に進めてください。

  • 受け取るものを選ぶ:会社の退職金、企業型DC、iDeCo、小規模企業共済、中退共、DBから、当てはまるものすべてにチェックします
  • 金額と期間を入力する:勤め始めた月、辞めた月、受け取る月、金額を1件ずつ入れます
  • 結果を見る:手取り、税金、受け取りの順番と計算の根拠が表示されます

入力した数字は、お使いの端末の中だけで計算し、送信されません。国税庁などの公的資料の計算式をもとに、AIの力を借りて作りました。ボクはエンジニアではありませんので、お気づきの点があれば教えていただけるとうれしいです。

実例1|退職金2,000万円+iDeCo350万円の手取り

この例では、みなし勤続年数の特例が効いて、iDeCoの税金が約17.4万円から約8.3万円に下がります。公開されている大和証券のコラムの数字を参考にしたモデルケースです。

項目内容
退職金2,000万円。1987年4月入社、2027年3月退職(勤続40年)、2027年3月に受け取る
iDeCo350万円。2017年1月から2029年3月まで掛金を払い、2029年3月に一時金で受け取る
実例1の前提(モデルケース)

企業型DCの一時金も、計算の形はiDeCoと同じです。

退職金の税金は0円

勤続40年の退職所得控除は2,200万円です。退職金は2,000万円なので控除に収まり、税金はかかりません。控除が200万円分、使わずに余りました。

iDeCoの控除は、そのままでは使えない

iDeCoの加入は12年3か月なので、切り上げて13年、控除は520万円です。ただし退職金を受け取ったのは2年前。先に退職金、あとでiDeCoの順だと、前年以前19年内の受け取りと重なる期間の分だけ、控除が削られます。

そのまま数えると、重なる期間は10年で、400万円が削られます。使える控除は120万円しか残りません。ここで登場するのが、みなし勤続年数です。

みなし勤続年数とは?スタンプカードで考える

みなし勤続年数とは、先の退職金で控除を使い切らなかったときに、使った分だけ働いたことにして年数を数え直す特例です。

スタンプカードで考えてみてください。勤続40年なら40マスのカードです。実際に控除を使ったのは37マス分で、残りの3マスは押していません。押していないマスは、iDeCoとの重なりに数えなくてよい、というイメージです。

みなし勤続年数のイメージ図。勤続40年のスタンプカードのうち37マスに印があり、残り3マスはiDeCoとの重なりに数えない
みなし勤続年数をスタンプカードで考える(※イメージ図・筆者作成)
  • 37年の出し方:(2,000万円−800万円)÷70万円+20=37.1… → 1年未満は切り捨てて37年
  • 数え直した期間:1987年4月から37年で、2024年3月まで
  • iDeCoとの重なり:2017年1月から2024年3月まで、7年3か月 → 1年未満は切り捨てて7年
  • 使える控除:520万円−(40万円×7年)=240万円
項目特例を使わない場合みなし勤続年数の場合
重なる年数10年7年
使える控除120万円240万円
課税される金額115万円55万円
税金(所得税+住民税)約17.4万円約8.3万円
みなし勤続年数の特例の効果(iDeCo350万円の税金・概算・筆者計算)

重なる期間が3年減ると、控除が120万円増えます。その分、税金が約9万円軽くなりました。受け取り全体の手取りは、2,350万円から税金を引いて、約2,341.7万円です。

受け取りの順番の考え方は、退職金と企業型DCの同時受取の記事でも詳しくお話ししています。

実例2|自営業のiDeCo800万円+小規模企業共済1,500万円

退職金がない自営業の方も、iDeCoと小規模企業共済の順番で計算できます。この例の税金は合計約41.5万円、手取りは約2,258.5万円です。

項目iDeCo小規模企業共済
期間2016年4月〜2031年3月(15年)2016年4月〜2041年3月(25年)
受け取り2031年に800万円(60歳)2041年に1,500万円(70歳)
退職所得控除600万円1,150万円
課税される金額100万円175万円
税金(所得税+住民税)約15.1万円約26.4万円
実例2の前提と結果(モデルケース・概算・筆者計算)

ポイントは、受け取りのあいだが10年空いていることです。iDeCoの翌年から9年の間に共済を受け取らなければ、重なりの調整はありません。共済の控除を、まるごと使えます。

もし共済の受け取りが1年早い2040年になると、調整の対象になります。順番と間隔で結果が変わるので、ご自身の予定で確かめてみてください。なお、小規模企業共済の扱いは解約の理由によって異なります。ここでは事業をやめて共済金を受け取る場合を想定しています。

退職金の10年ルール・20年ルールとは

「10年ルール」「20年ルール」は通称で、受け取る順番によって、控除を調整する期間が変わる決まりのことです。

受け取る順番と調整の期間の図。iDeCoやDCが先なら前年以前9年内、退職金が先なら前年以前19年内
受け取る順番で、調整の対象になる期間が変わる。出所:所得税法施行令第70条を基に筆者作成
受け取る順番通称あとから受け取る年の、調整の対象
iDeCo・企業型DCの一時金が先、退職金や共済があと10年ルール前年以前9年内(2026年1月1日以後に受け取った一時金から)
退職金や共済が先、iDeCo・企業型DCの一時金があと19年ルール(20年ルール)前年以前19年内
退職金どうし5年ルール前年以前4年内
受け取る順番と調整の対象期間。出所:所得税法施行令第70条を基に筆者作成

「5年ルールが撤廃された」と言われることがありますが、正しくはiDeCoやDCが先の場合に4年内から9年内へ延びた、ということです。

また、iDeCoや企業型DCは遅くとも75歳までに受け取る決まりです。そのため今の制度では、55歳を過ぎて退職金を受け取る方が、そのあと20年空けるのは現実的に難しくなります。そんなときこそ、実例1のように控除の余りとみなし勤続年数を確かめる意味があります。

iDeCoの改正も重なる時期です。iDeCo改正の記事もあわせてご覧ください。

自分の数字を入れるときのポイントと注意点

  • 金額は税金が引かれる前の額を入れます。手取りの額を入れると、結果がずれます
  • 過去に受け取ったことがある方は、最初の画面で「以前、退職金・企業型DC・iDeCoなどを一時金で受け取ったことがある」にチェックを入れます
  • 入力は最大5件までです。迷ったら「記入例から探す」から近い形を選んでください
  • 一時金の計算専用です。年金形式での受け取りや、一時金と年金の組み合わせには対応していません
  • 2026年10月時点の制度をもとにした概算です。制度が変われば更新していきます

受け取るときは、勤務先などに「退職所得の受給に関する申告書」を出すことも確認しましょう。出さないと、支払額の20.42%が源泉徴収されます。その場合は、確定申告で精算することになります。

よくある質問

退職金2000万は税金はいくらですか?

勤続年数で変わります。ほかの受け取りがない場合、勤続30年なら約41万円、勤続35年なら約11万円、勤続38年以上なら0円が目安です。

退職金をもらった翌年の税金はどうなる?

申告書を出して受け取る一般的な場合、所得税も住民税も受け取るときに差し引かれ、退職金が翌年の住民税に上乗せされることは通常ありません。ただし、前の年の給与にかかる住民税は、退職後も支払いが続きます。

退職金を一括で受け取ると税金はどうなる?

一括で受け取ると、退職所得控除と2分の1の扱いが使えます。年金形式で受け取る場合は雑所得となり、計算の仕組みが変わります。

手取り計算シミュレーションは本当に無料ですか?

無料で、登録も要りません。入力した数字は端末の中だけで計算します。

まとめ|受け取る前に、順番まで確かめておく

  • 退職金手取りは、勤続年数で決まる控除と、受け取る順番で大きく変わる
  • 2,000万円なら、勤続30年で税金約41万円、38年以上で0円が目安(ほかの受け取りがない場合)
  • 退職金が先でiDeCoがあとなら、前年以前19年内の重なりに注意
  • 控除に余りがあれば、みなし勤続年数で税金が軽くなることがある
  • iDeCoや企業型DCが先の場合は、前年以前9年内の重なりに注意
  • 年金形式の受け取りは別の計算になる

受け取ったあとでは、順番は変えられません。まずは一度、ご自身の数字をシミュレーションに入れてみてください。

手取りが分かったら、次は老後にどの順番で使うかです。企業型DCと退職金の受け取り方、老後資産を取り崩す順番の記事も参考にしてください。焦らなくて大丈夫です。一緒に考えていきましょう。

参考資料

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
本日もお読みいただき、ありがとうございました!
家計にまつわるご相談は、以下お問い合わせページよりお問い合わせください。
記事の執筆や監修業務も承っております。まずはお気軽にご相談ください。
※ 初回個別相談は無料です。 ※ zoomでのオンライン面談となります。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

FPの流儀のアバター FPの流儀 有限会社バード商会

「バード商会」はもともと私の父の会社です。
バードは、大空を自由に飛ぶラッキーモチーフの象徴ともいわれています。
私と携わってくださる人の家計が「ほんの少しでも豊かになるように」という想いを込め、バードという社名を引き継ぎFPとして相談業務、ライフプランの作成、執筆業務等を行なっています。
皆さまの家計に、経済的な自由(Freedom)と幸運(Prosperity)を提供できるよう尽力して参ります。

目次