企業型DCを放置すると数百万円の差に?3つの落とし穴と商品の選び方を解説【2026年マッチング拠出改正】

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「企業型DCに入っているはずだけど、何の商品を選んだか正直覚えていない…」

企業型DC(企業型確定拠出年金)の加入者は約862万人。iDeCo(約400万人)の2倍以上という、いまや最も身近な退職金制度です。ところが、定期預金のまま放置している方、転職・退職後の手続きを忘れてそのままの方がとても多いのが現実です。

結論からお伝えすると、企業型DCは「ただ加入しているだけ」ではもったいない制度です。賢く活用する人となんとなくの人とでは、将来受け取れるお金が数百万円単位で変わる可能性があります。この記事では、知らないと怖い3つの落とし穴と、後悔しにくい商品の選び方、2026年のマッチング拠出の改正まで、初心者の方向けにまるっと解説します。

※本記事は2026年7月時点の情報に基づいています。特定の金融商品の推奨を目的としたものではありません。

目次

企業型DC(企業型確定拠出年金)とは?

会社員の年金は「3階建て」になっています。1階が国民年金、2階が厚生年金、そして3階部分が私的年金——企業型DCはこの3階部分にあたります。一番大事なポイントは、会社が運用してくれる退職金ではなく、自分で商品を選んで自分で育てていく退職金制度だということです。

そして企業型DCには「積み立てるとき」「増やすとき」「受け取るとき」の3つのタイミングで税制優遇があります。国のお墨付きをもらった、老後資金づくりの強力な制度なんですね。

掛金は3タイプ|2026年のマッチング拠出改正も確認

3つの掛金タイプを見ていきます。

タイプ仕組みポイント
A:全額会社負担型会社が掛金を全額負担し、自分は運用のみ大企業に多い。退職金制度の一部として導入
B:マッチング拠出型会社の掛金に自分でも上乗せできる導入企業は約52.4%。上乗せ分は全額所得控除
C:選択制DC給与で受け取るか、DCで積み立てるかを選べる中小企業に多い。税・社会保険料の負担が軽くなる場合も
筆者作成

ここで朗報です。マッチング拠出にはこれまで「会社の掛金と同額まで」という制限がありましたが、2026年4月にこの制限が撤廃され、月5万5,000円を上限に好きな金額を掛けられるようになりました。さらに2026年12月からは上限が6万2,000円へ引き上げられることも決まっています。選択肢は大きく広がりました。

選択制DCの場合は、掛金が給与とみなされず社会保険料の計算対象から外れるため、たとえば40歳・月収30万円の方が月2万円を積み立てると、年間約5万7,000円の負担が軽くなる試算もあります。ただし、傷病手当金や出産手当金、将来の厚生年金がわずかに減る可能性がある点は知っておきましょう(多くの場合、DCの積立効果で十分カバーできる範囲です)。

落とし穴①:「元本確保型なら安心」とは限らない

企業型DCの商品には「元本確保型(定期預金・保険)」と「元本変動型(投資信託)」があります。損をするくらいなら定期預金のほうが安心——そう思いますよね。ボクも最初はそうでした。ただ、いまはインフレ(物価上昇)の時代。全額を定期預金に置いておくのは、例えるなら「穴の空いた貯金箱」にお金を入れるようなものなんです。

インフレ率1〜3%が続いた場合の100万円の30年後の実質価値(約74万円・約55万円・約40万円)
筆者作成(実質的な価値の目減りイメージ)

通帳の残高は100万円のままでも、インフレ2%が30年続けば買えるものの価値は約55万円分に。金融庁の2025年度の調査では、企業型DC加入者の22%(約5人に1人)が元本確保型のみで運用しているという結果も出ています。せっかくの非課税制度、お金にも働いてもらいながら二人三脚で育てていく視点が大切です。

落とし穴②:何も選ばないのは「権利放棄」と同じ

商品を自分で選ばないと、会社があらかじめ設定した商品(デフォルト商品)で自動運用されます。実際、商品未選択の加入者は約68万人、うち約29万人は元本確保型で自動運用されているというデータがあります。デフォルトが定期預金の会社もまだ多いんです。

「何を選んだか覚えていない」という方は、この記事を読み終わったら、ぜひ加入者専用サイトにログインして、いまどの商品で運用されているかだけでも確認してみてください。分からなければ、会社の人事・総務やDC担当の方に聞けば教えてもらえます。

落とし穴③:転職・退職後の放置は絶対NG【自動移換】

3つの中で一番怖いのがこれです。退職後、6ヶ月以内に手続きをしないと、企業型DCの資産は「国民年金基金連合会」へ自動移換されます。「自動でやってくれるなら便利じゃない?」と思いきや——大きな落とし穴があります。

  • 投資信託などはすべて売却されて現金のまま保管=その時点から1円も増えない
  • 自動移換時に手数料4,348円、その後も毎月52円が引かれ続ける
  • 増えるどころか、老後のお金が減り続ける状態に

この「自動移換されたまま資産が置き去りになっている人」は約72万人(2024年3月末時点)。対策はシンプルで、転職先に企業型DCがあれば移換して引き継ぐ、なければiDeCoへ移換することです。iDeCoなら新たに掛金を出さなくても「運用指図者」として運用だけ続けられます。心当たりのある方は、自宅に届いている案内書類か、自動移換者専用のコールセンターで確認してみてください。

賢い商品の選び方|迷ったらインデックスファンドから

「じゃあ結局、どう選べばいいの?」という方へ。これから始める方には、低コストで市場全体の成長を取り込めるインデックスファンド(パッシブ型)を軸にすることをおすすめしています。プロが市場平均超えを狙うアクティブファンドもありますが、手数料が高くなる傾向があり、初心者の方が優秀なものを見極めるのは簡単ではありません。

毎月1万円を22年間積み立てた場合の商品別比較(定期預金261万円、バランス484万円、国内株式710万円、外国株式1158万円)
出所:各インデックスの実績データを基に筆者作成

毎月1万円を約22年間積み立てた場合、定期預金では261万円(元本260万円+約1万円)だったのに対し、外国株式インデックスなら約1,158万円——その差は約897万円。積み立てた金額は同じで、違うのは選んだ商品だけです。「どこにお金を置くか」でこれだけ将来が変わる可能性があるんですね。

チェックすべきは「信託報酬」——目安は年0.2%前後

投資信託を持っている間、自動的に引かれ続ける手数料が信託報酬です。仮に500万円を20年間運用した場合、信託報酬が年2%なら手数料は約200万円、年0.2%なら約20万円——単純計算で180万円以上の差になります。目安として年0.2%前後の低コストなインデックスファンドを基準に、お勤め先のラインナップから選んでみてください(0.2%台がない場合は、その中で一番低いものを)。

比較に使える3つの指標

指標何がわかる?目安
トータルリターン過去1・3・5・10年でどのくらい増えたか長期でプラスが続いているか
標準偏差値動きのブレ幅(ハラハラ度)小さいほど安定的
シャープレシオリスクに対する効率(投資のコスパ)1以上で優秀、2以上で超優秀
筆者作成

これらは「ウエルスアドバイザー」などの無料サイトで商品名を検索すれば確認できます。なお、年齢に合わせて配分を自動調整してくれる「ターゲットイヤーファンド」は、手間をかけたくない方の選択肢にはなりますが、手数料が高めの場合もあるため、ご自身で管理できる方は本記事の基準で選ぶほうが資産の最大化を狙いやすいとボクは考えています。

また、投資の「リスク」とは危険という意味ではなく値動きのブレ幅のこと。毎年必ずプラスになるわけではないからこそ、50代以降など受け取りが近い方は「増やす」だけでなく「守る」視点での資産配分も大切です。受け取り方まで含めた出口の考え方は退職金・企業型DCの賢い受け取り方の記事で詳しく解説しています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 退職後、企業型DCを放置するとどうなりますか?

A. 6ヶ月以内に手続きしないと国民年金基金連合会へ自動移換され、資産は現金化されたまま増えず、手数料だけが引かれ続けます。転職先の企業型DCかiDeCoへの移換手続きをおすすめします。

Q2. マッチング拠出はいくらまで出せますか?(2026年改正)

A. 2026年4月に「会社の掛金と同額まで」の制限が撤廃され、月5万5,000円が上限になりました。2026年12月からは6万2,000円へ引き上げられる予定です(お勤め先の規約によります)。

Q3. いま定期預金だけで運用しています。ダメですか?

A. ダメではありませんが、インフレが続くと実質的な価値が目減りする可能性があります。加入者の約5人に1人が元本確保型のみという調査もありますが、低コストのインデックスファンドを一部組み合わせるなど、目的に合わせた配分を検討する価値は大きいです。

まとめ|「なんとなく」から「自分で育てる」へ

  • 企業型DCは自分で商品を選んで育てる退職金制度。3つの税制優遇つき
  • 2026年改正でマッチング拠出の上限が大幅拡大(4月に同額制限撤廃→12月から月6.2万円へ)
  • 落とし穴①元本確保型だけではインフレで目減りの可能性(加入者の22%が該当)
  • 落とし穴②商品未選択の自動運用は約68万人。まず加入者サイトで確認を
  • 落とし穴③退職後の放置は自動移換で増えずに減り続ける(約72万人が該当)
  • 商品選びは低コストのインデックスファンド(信託報酬0.2%前後目安)を軸に

知らなかったでは済まされないのが老後資金。でも、今日確認すればまだ間に合います。「自分の会社のタイプが分からない」「配分をどう考えればいいか不安」という方は、ひとりで悩まず、一緒に考えていきましょう。iDeCoの商品環境も大きく変わっています。SBI証券iDeCoの商品入れ替えの記事もあわせてどうぞ。

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この記事を書いた人

FPの流儀のアバター FPの流儀 有限会社バード商会

「バード商会」はもともと私の父の会社です。
バードは、大空を自由に飛ぶラッキーモチーフの象徴ともいわれています。
私と携わってくださる人の家計が「ほんの少しでも豊かになるように」という想いを込め、バードという社名を引き継ぎFPとして相談業務、ライフプランの作成、執筆業務等を行なっています。
皆さまの家計に、経済的な自由(Freedom)と幸運(Prosperity)を提供できるよう尽力して参ります。

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