入院したらいくらかかる?自己負担の平均と高額療養費制度をわかりやすくFPが解説【医療保険は必要?】

お悩み

「もし入院したら、実際いくらかかるんだろう…医療保険に入っていないと危険?」

結論からお伝えすると、日本には「高額療養費制度」という強力な公的保障があり、医療費の自己負担には毎月の上限があります。例えば年収370〜770万円の方なら、医療費が100万円かかっても自己負担は月およそ9万円弱。入院の実際の自己負担平均は約20万円という調査もあります。

この記事では、入院費用の平均データ、高額療養費制度のわかりやすい仕組み、制度でカバーできない費用、そして「民間の医療保険は必要か?」の考え方まで、保険を売らない中立FPのボクが解説します。

※本記事は2026年7月時点の制度・調査データに基づきます。高額療養費制度は見直しが議論されることがあるため、最新情報は厚生労働省の公表資料をご確認ください。

目次

入院費用の平均はいくら?【1日あたり・1回あたり】

生命保険文化センターの調査(2022年度)によると、直近の入院時にかかった自己負担費用の平均は約19.8万円、1日あたりでは平均約2.1万円でした(治療費・食事代・差額ベッド代などを含む)。入院日数は年々短くなる傾向にあり、平均は17日前後です。

「20万円」と聞くと大きく感じますが、これは平均値。内訳を知ると、必要以上に怖がらなくてよいことが分かります。カギを握るのが、次の高額療養費制度です。

高額療養費制度とは?わかりやすく【自己負担には上限がある】

高額療養費制度とは、1ヶ月(同月内)の医療費の自己負担が上限額を超えた場合、超えた分が戻ってくる制度です。上限額は年齢と所得で決まります。例として、69歳以下・年収370〜770万円の方が医療費100万円かかった場合を見てみましょう。

医療費100万円の場合、窓口負担30万円のうち高額療養費制度で約21万円が戻り最終負担は約8.8万円になる図
出所:高額療養費制度の計算式を基に筆者作成

窓口では3割の30万円を支払いますが、高額療養費制度の上限額は「80,100円+(100万円−267,000円)×1%=約87,430円」。差額の約21万円は後から払い戻されます。

年収の目安(69歳以下) 1ヶ月の自己負担上限(目安)
約1,160万円〜 252,600円+(医療費−842,000円)×1%
約770万〜1,160万円 167,400円+(医療費−558,000円)×1%
約370万〜770万円 80,100円+(医療費−267,000円)×1%
〜約370万円 57,600円
住民税非課税の方 35,400円
出所:厚生労働省「高額療養費制度」の区分を基に筆者作成(2026年7月時点)

さらに、直近12ヶ月で3回以上上限に達すると4回目から上限が下がる「多数回該当」の仕組みもあります。マイナ保険証を利用すれば、窓口での支払い自体を上限額までにできるため、大きなお金を立て替える必要もありません(従来の限度額適用認定証も利用可)。

高額療養費制度でカバーできない費用に注意

  • 食事代:入院中の食事は1食あたり原則510円の自己負担(2025年4月改定)
  • 差額ベッド代:個室などを希望した場合、1日あたり平均6,000〜7,000円程度。全額自己負担
  • 先進医療の技術料:公的保険の対象外(該当する治療はまれですが高額)
  • 雑費・交通費:パジャマ・日用品のレンタル、家族の見舞いの交通費など

入院費用の平均約20万円のうち、治療費そのものは高額療養費で抑えられていて、実は食事代・差額ベッド代・雑費が意外と大きいというのが実態です。

民間の医療保険は必要?いらない?【FPの考え方】

「医療保険はいらない」という意見をSNSで見かけて不安になる方も多いと思います。ボクの考えは、「生活防衛費(生活費の3ヶ月〜半年分)が確保できているかどうか」で分かれるです。

  • 貯蓄で備えられる方:高額療養費制度+貯蓄で対応できるため、医療保険の優先度は下がります
  • 貯蓄がまだ少ない方・自営業の方:会社員より公的保障が薄く(傷病手当金がない等)、掛金の安い医療保険で「貯蓄が育つまでのつなぎ」にする考え方も合理的です

大事なのは「なんとなく安心だから」で保険料を払い続けないこと。公的制度で守られる範囲を知った上で、足りない分だけを保険で埋めるのが、家計にやさしい順番です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 1週間入院したらいくらぐらいかかりますか?

A. 1日あたりの自己負担平均が約2.1万円なので、単純計算で15万円前後が目安です。ただし高額療養費制度の上限や差額ベッド代の有無で大きく変わります。

Q2. 高額療養費制度は自分で申請しないとダメですか?

A. マイナ保険証を使えば、窓口支払いを最初から上限額までにできます。後から払い戻す場合は、加入している健康保険(協会けんぽ・健保組合・国保など)への申請が必要です。2年で時効になるのでお早めに。

Q3. 月をまたいで入院すると損というのは本当ですか?

A. 本当です。上限額は「暦月ごと」に計算されるため、月をまたぐと2ヶ月分の上限がかかることがあります。予定入院で時期を選べる場合は、医師に相談してみる価値があります。

まとめ|まず公的保障を知れば、ムダな不安と保険料が減る

  • 入院の自己負担平均は約19.8万円・1日約2.1万円(調査データ)
  • 高額療養費制度で1ヶ月の医療費負担には上限がある(年収370〜770万円なら約8〜9万円)
  • マイナ保険証で立て替え不要に。食事代・差額ベッド代などは対象外なので注意
  • 医療保険の要否は生活防衛費の有無で判断。公的制度を知ってから足りない分だけ備える

「うちの場合、保険はどこまで必要?」と迷ったら、加入中の保険証券を手元に、公的保障とセットで一度整理してみませんか。保険を売らない立場だからこそ、フラットにお手伝いできます。外貨建て保険の見直しの記事生命保険の平均額の記事もあわせてどうぞ。

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この記事を書いた人

FPの流儀のアバター FPの流儀 有限会社バード商会

「バード商会」はもともと私の父の会社です。
バードは、大空を自由に飛ぶラッキーモチーフの象徴ともいわれています。
私と携わってくださる人の家計が「ほんの少しでも豊かになるように」という想いを込め、バードという社名を引き継ぎFPとして相談業務、ライフプランの作成、執筆業務等を行なっています。
皆さまの家計に、経済的な自由(Freedom)と幸運(Prosperity)を提供できるよう尽力して参ります。

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