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「新NISAで買ったはずなのに、配当金から税金が引かれている気がする」
「口座は作ったけど、正しく使えているのか自信がない」
そんなモヤモヤを抱えていませんか。
先に結論をお伝えします。新NISAで買った日本株の配当金でも、受け取り方の設定を「株式数比例配分方式」にしていないと、約20%の税金が引かれ続けます。しかも、誰も教えてくれません。
この記事では、相談の現場でとくに多い新NISAの勘違いを5つに絞って解説します。もったいない勘違いを解くと、新NISAは思っているよりずっと自由に使えるようになります。
この記事で分かることは、次の5つです。
ボクは福岡で活動している独立系FPの鳥谷威(とりや たけし)です。CFP®認定者・1級ファイナンシャル・プランニング技能士で、銀行や証券会社に所属せず、特定の金融商品も一切販売していません。だからこそ「知らなかった」というだけで損をしてほしくないんです。ひとつずつ、「自分は知っていたかな?」と数えながら読んでみてくださいね。
※本記事は2026年8月時点の情報に基づいています。税制・制度は今後変更される可能性があります。特定の金融商品の推奨を目的とするものではありません。投資は元本保証ではなく、最終的なご判断はご自身の責任でお願いいたします。

「つみたて投資枠は、名前のとおり毎月コツコツ積み立てる専用でしょ?」「成長投資枠は株を買う人の枠だから、自分には関係ない」。そう思っていませんか。
ここが、いちばん誤解されがちなところです。新NISAの枠は、名前のイメージよりずっと自由に使えます。
ひとつ目。つみたて投資枠の対象商品は、制度上、成長投資枠でも買えます。全世界株式(オルカン)もS&P500の投資信託も、成長投資枠でそのまま購入できますし、成長投資枠は投資方法に制限がないので積立設定もできます(成長投資枠で実際にどの商品を扱っているかは金融機関によって異なるため、お使いの証券会社でご確認ください)。

年間の投資枠は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円。両方を併用すれば合計360万円で、同じ投資信託を月30万円まで積み立てられる計算です。しかも成長投資枠なら、好きなタイミングで好きな金額を買う「スポット購入」も自由にできます。
ふたつ目。つみたて投資枠でも、証券会社によっては一括に近い買い方ができます。使うのは「ボーナス設定」という機能。金額を増やす月を指定できます(回数や取り扱いの有無は金融機関によって異なります)。
名前は「ボーナス」ですが、実際にボーナスがあるかどうかは関係ありません。毎月の積立は最低金額に抑えて、好きな月にまとめて買う。つまり、つみたて投資枠でも実質的なスポット購入に近い使い方ができるわけですね。まとまった資金を早く運用に回したい方には、知っておいて損のない機能だと思います。
ただし注意点もあります。増額分を含めても、つみたて投資枠の年間上限120万円は変わりません。また、一度にまとめて買うぶん、買ったあとに値下がりしたときの影響も大きくなります。ご自身の性格に合うかどうかも含めて考えてみてくださいね。
まとめて買うということは、そこが高い時だった場合、高値づかみになるリスクも背負うということ。対応していない金融機関もありますし、退職金のような大きなお金を一気に入れることは、ボクはおすすめしません。50代からは「早く増やす」より「減らしすぎない」が大切ですから。
みっつ目。「つみたて投資枠で使えるのは、生涯600万円まで」。そう思っている方が、けっこういらっしゃいます。これ、違うんです。
まず、新NISAの非課税保有限度額(生涯投資枠)は1,800万円。このうち上限が決まっているのは成長投資枠のほうだけで、1,200万円までと決まっています。

ここで「じゃあ1,800万円から成長投資枠の1,200万円を引いて、つみたて投資枠は残り600万円だな」と計算してしまう。これが600万円の勘違いの正体です。
実際は違います。つみたて投資枠には、個別の上限がありません。成長投資枠を一度も使わなくても、つみたて投資枠だけで1,800万円をまるごと使い切ることができます。
毎月コツコツ積み立てるだけで、1,800万円の枠は全部埋められる。株を一度も買わなくていい。これは、投資信託の積立で老後に備えたい50代の方にとって、すごく安心できる話ではないでしょうか。枠の名前に縛られなくて大丈夫です。
ふたつ目の勘違いには、2つのポイントがセットで潜んでいます。ここからは、52歳の会社員Aさんという方を例に考えてみましょう。特定口座に投資信託が1,000万円ほどあって、「これを新NISAに移したい」と考えている——そんな方です。
「今年は360万円のうち100万円しか使えなかった。残りの260万円は来年に持ち越せるよね?」。残念ながら、繰り越しはできません。年間の投資枠は、その年限りで消えてしまいます。

「えっ、使い切れなかったら損なの?」。そう感じた方にこそ、伝えたい捉え方があります。年間の枠は、貯金のように貯まるものではなく、毎年新しく配られる「チケット」のようなもの。使っても、使わなくても、来年また新しいチケットが配られます。そして生涯投資枠の1,800万円は消えません。NISAは期限のない恒久的な制度ですから、「今年中に使わないと」と焦る必要はまったくないんです。
そして、本当によくあるのがこちら。「売ったら、その分の枠はすぐに復活するんでしょ?」。ここ、正しく理解している方が意外と少ないんです。3つのポイントで整理します。

ひとつ。復活するのは「翌年」です。Aさんが今年200万円分を売っても、その200万円の枠が今年のうちに戻ってくるわけではありません。今年の投資上限は、あくまで360万円のままです。
ふたつ。復活するのは、売った時の金額ではなく、その商品を「買った時の金額(簿価)」の分です。たとえばAさんが100万円で買った投資信託が、300万円に育っていたとします。それを売っても、戻ってくる枠は買った時の100万円分だけ。値上がりした200万円分の枠が増えるわけではありません。
みっつ。枠が戻っても、1年に投資できる金額は360万円が上限のまま。だから大きな金額を売って「よし、来年まとめて買い直そう」と思っても、一度には買い戻せないことがあります。つまりNISAは、短期の売り買いには向いていない制度なんですね。じっくり長く持つ人ほど、恩恵を受けられます。
なお「2027年から、売った年のうちに枠が復活する」という情報を見かけることがありますが、これは2026年8月時点では決まっていません。金融庁が令和8年度の税制改正要望に挙げた項目ではあるものの、2025年12月の税制改正大綱には盛り込まれず、2026年3月に公布された改正法にも含まれていないためです。枠の復活は、現在も「翌年以降」のままとお考えください。
最後に、希望をひとつ。1,800万円の枠は「買った値段」で数えます。だから買った分が2,000万円、3,000万円に育っても、枠からはみ出して課税されることはありません。育つ分は、青天井の非課税です。
みっつ目は、今日いちばん持ち帰ってほしい話です。「新NISAで買えば、利益は無条件で非課税になる」。そう思いますよね。ところが、課税されるパターンが2つあるんです。
ひとつ目。日本の個別株やETFの配当金は、受け取り方の設定を間違えると、新NISA口座で買った株でも約20%——正確には20.315%の税金が引かれてしまいます。
配当金の受け取り方には、いくつか種類があります。でも、非課税になるのはたったひとつ。「株式数比例配分方式」だけです。

漢字が並んで難しそうに見えますが、要するに「配当金をどこで受け取るか」という設定の話です。宅配便にたとえてみましょう。非課税という特典がつくのは、自宅——つまりNISA口座のある証券会社で受け取ったときだけ。コンビニ受け取りのように、外の銀行口座や郵便局の窓口で受け取ってしまうと、同じ配当金でも特典の対象外になって、通常どおり課税されてしまいます。
「銀行振込のほうが分かりやすいから」。そんな理由でこの設定のままだと、新NISAの配当金からも税金が引かれ続けます。しかも、誰も教えてくれません。
だからこそ、ここで30秒だけ時間をください。個別株やETFをお持ちの方は、証券会社のアプリを開いて「配当金の受け取り方式」の設定を見てみてください。「株式数比例配分方式」になっていればOKです。
課税パターンのふたつ目は、設定では避けられないものです。米国株や米国の高配当ETFの配当金・分配金には、日米租税条約に基づいて米国側で10%の税金がかかります。

新NISAで非課税になるのは、日本の約20%の部分だけ。外国側の10%は、NISAでも引かれてしまいます。課税口座なら確定申告で外国税額控除により一部を取り戻せる仕組みがありますが、NISAはその対象外です。米国の高配当株やETFで配当をたくさん受け取る作戦は、この10%分だけ非課税メリットが目減りする。そこは知ったうえで選んでくださいね。
「えっ、ボクのオルカンは?」と不安になった方、安心してください。全世界株式やS&P500のような投資信託を積み立てているだけの方は、分配金を出さない設計のものが多く、受け取り方式に神経質になる必要はありません。ただし、ファンドが組み入れている外国株の配当には現地で税金が引かれていて、それは基準価額に反映されています。「外国の税金がゼロ」という意味ではない点だけ、頭の片隅に置いておいてください。
よっつ目は、NISAの「損」にまつわる勘違いです。面白いことに、ここには正反対の勘違いが2つあります。ひとつは楽観しすぎの勘違い、「損をしても税金の仕組みで取り戻せるんでしょ?」。もうひとつは心配しすぎの勘違い、「暴落したら、入れたお金以上に取られるんじゃないか」。順番に見ていきましょう。
まず、楽観しすぎのほう。通常の課税口座には「損益通算」という救済の仕組みがあります。ある商品の損失を別の商品の利益と相殺して、税金を減らせるルールです。相殺しきれなければ、確定申告で翌年以降3年間繰り越すこともできます。
ところが。NISAの損失は、この救済の対象外なんです。税金の世界では、NISAの中の損は「なかったもの」として扱われます。

たとえば、課税口座で20万円の利益、NISAで20万円の損失。トータルでは1円も増えていないのに相殺はできず、20万円の利益に約4万円が課税されます。
次に、心配しすぎのほう。「暴落したら借金になるのでは」という不安。こちらは安心してください。NISAで買えるのは、投資信託や株式の「現物」だけ。どれだけ値下がりしても、失う最大額は投資した金額までです。追加でお金を請求されることはありません。
つまり、NISAの損の正解はこうなります。救済はない。でも、借金にもならない。だから必要なのは、怖がりすぎることでも楽観しすぎることでもなく、「正しく恐れる」ことです。
そして正しく恐れる人が一番避けるべきなのが、暴落時の狼狽売り。救済がない中で損を確定させるので、ダメージが二重になってしまいます。そもそも暴落は、長い付き合いの友達がたまたま調子を崩しているようなもの。調子が悪い時期があるからといって、縁を切る必要はないんですね。積立を続けていれば、下がっている時期は同じ金額で多くの口数を買える時期でもあります。
そのうえで、50代からの備えは資産配分です。資産配分は、カードゲームのデッキのようなもの。攻めのカードだけで組むと、崩れるときは一気に崩れます。債券や預金、個人向け国債のような守りの資産を組み合わせて、夜ぐっすり眠れるバランスにしておく。これが一番の備えになります。
最後、いつつ目。50代の方にいちばん届けたい勘違いです。
「NISAって、これから積み立てる人の制度でしょ。昔の旧NISAの商品や、特定口座で持っている資産は、もうNISAにはできないよね」。そう思っていませんか。実は、できるんです。
正確に言うと、そのまま移す「移管」はできませんが、売却して新NISAで買い直す。この「引っ越し」なら、誰でもできます。引っ越し元は、旧NISAと特定口座の2つです。

まず、旧NISAから。その前に前提をひとつ。「旧NISAをやっていたら、新NISAとは併用できない」。これも勘違いです。旧NISAと新NISAはそもそも別々の制度で、旧NISAでいくら持っていても、新NISAの1,800万円はまるごと使えます。ただし旧NISAでは、新しく買い付けることはできません。
そして、ここが大事です。旧NISAには非課税の期限があります。一般NISAは買った年から5年。2023年に買った分は、2027年の年末で終わりです(つみたてNISAは20年あるので、慌てなくて大丈夫ですよ)。
期限が来ると、何もしなければ自動的に課税口座へ移されます。そのとき注意したいのが、税金を計算する「スタートライン」が、その日の値段に引き直されることです。

たとえば100万円で買った商品が、期限の日に60万円まで下がっていたとします。課税口座では「この人は60万円で買った」という扱いで再スタートします。その後80万円まで戻って売ると、あなたの実感は「100万円が80万円になったので20万円の損」。ところが税金の世界では「60万円が80万円になったので20万円の利益」。ここに約4万円が課税されます。
損をしているのに、税金がかかる。これが旧NISA放置の、いちばん怖いところです。だから旧NISAで損が出ている商品ほど、期限が来る前に売却して新NISAへ引っ越すことを考える価値があります。逆に利益が出ている分は、期限までの利益は非課税で確定するので、慌てなくて大丈夫です。
次に、特定口座からの引っ越し。こちらが本命です。50代の方は、NISAが始まる前から特定口座でコツコツ投資してきた人も多いはず。Aさんの1,000万円も、まさにそうですね。
使うのは、勘違い②で話した「毎年配られるチケット」です。年間360万円の枠の範囲で、数年がかりで移していく。Aさんの1,000万円なら、3年ほどで引っ越せる計算です。
「でも、売ったら税金がかかるんじゃ……」。いい質問です。含み益が出ている商品は、売るときにその利益へ約20%の税金がかかります。これは引っ越しの「運送料」のようなもの。一度だけ払う代わりに、そこから先の成長はずっと非課税になります。だから、これからも長く持つつもりの商品ほど、運送料を払ってでも引っ越す価値が出やすくなるわけです。
逆に、含み損の商品は運送料ゼロ。課税なしで引っ越せます。しかも課税口座の中でなら、勘違い④で話した損益通算で、他の利益の税金を減らすこともできる。損の救済は、引っ越しの場面でこそ活きるんです。
そして、ここがいちばん大事なところ。引っ越しは「全部運ぶ」ではありません。荷物の仕分けから始めます。実際の引っ越しでも、段ボールに詰める前に「これ、まだ使うかな?」と考えますよね。資産も同じです。移す前に、3つの問いかけをしてみてください。
引っ越しは、資産の断捨離のチャンス。なんとなく持っていた商品に、「これは老後のお金」「これは楽しみのお金」と目的の名前をつけ直す機会でもあります。
ただ、何を、どの順番で、何年かけて移すか。含み益の大きさ、退職までの年数、使う時期によって、答えは100人いれば100通り変わります。ここは一般論ではなく「自分の場合」で考えるところ。同じAさんでも、退職が5年後か10年後かで答えはまるで変わってきます。
公式LINEでは、こうした整理に使える資料をはじめ、11の特典を無料でお渡ししています。「自分の場合はどうだろう」と思われた方の、はじめの一歩にお使いください。
ひとつの考え方として、目安の順番はこうです。最初に旧NISA(期限があり、売っても枠が戻らないため)。次に特定口座(課税される資産を先に使い、非課税の箱は最後まで育てる)。新NISAの中では成長投資枠が先で、長期の土台であるつみたて投資枠は最後の最後まで残す。もちろん、ご自身の使う予定によって最適な順番は変わります。
老後資金が目的なら、掛金が全額所得控除になるiDeCoとの併用が選択肢です。特定口座と併用するなら、大きく育てたい商品をNISAに、値動きの穏やかな商品を特定口座に。非課税の恩恵が大きいものからNISAに入れるのがコツです。
ここは勘違いが多いところです。NISAの非課税は一代限り。亡くなった時点でNISAでの運用は終わり、商品はその日の時価でいったん課税口座に移されてから、ご家族へ相続されます。その後の値上がり分には約20%の税金がかかりますし、資産額によっては相続税の対象にもなります。
もしご家族が相続した商品をご自身のNISAで運用したいなら、一度売却して、ご自身の枠で買い直しになります。だからこそ、どこにどんな口座があるのかをご家族と共有しておいてください。口座の存在を家族が知らないと、探すだけでも大きな負担になってしまいます。
できません。1人1口座です。でもそれぞれが開設すれば、世帯で3,600万円。たとえば老後資金は夫の口座、教育や予備のお金は妻の口座、というように目的別に分けて使えます。
ネット証券なら月100円から始められるところもあります。クレジットカードで積み立てる「クレカ積立」ならポイントが付く場合もありますが、還元率や上限の条件は金融機関ごとに異なりますので、確認してみてください。
今日の5つの勘違いを振り返りましょう。
| よくある勘違い | 正しくは |
|---|---|
| ①つみたて投資枠は積立でしか使えない | 成長投資枠でも買えて、ボーナス設定で実質まとまった買付も可能。つみたて投資枠だけで1,800万円も使える |
| ②使わなかった枠は繰り越せる・売ればすぐ戻る | 枠は毎年配られるチケット。復活は翌年、買った金額の分だけ。でも焦る必要はない |
| ③NISAなら無条件で全部非課税 | 配当金は「株式数比例配分方式」が条件。米国株の配当には現地で10%かかる |
| ④損をしたら税金で取り戻せる | NISAに損の救済(損益通算)はない。でも借金にもならない |
| ⑤NISAは新しいお金だけの制度 | 旧NISAも特定口座も、計画的に「引っ越し」できる |

さて、あなたは何個知っていましたか。
最後に、ひとつだけ。今日の話は、NISAという制度の話に見えたかもしれません。でも本当は違うんです。これは、あなたの人生の話です。
引っ越しの仕分けで「この先10年持ちたいか」と問いかけたとき。売る順番を考えるとき。あなたが向き合っていたのは、制度のルールではなく「自分はいつ、何のために、このお金を使うのか」という問いだったはずです。
NISAは、お金を増やすための道具であって、目的ではありません。制度の正解は、この記事でお伝えできました。でも、あなたの正解は、あなたのライフプランの中にしかありません。
ボク自身、お金の不安で夜も眠れなかった時期があります。でも数字で見える化して、「自分の場合はこれでいい」と答え合わせができたとき、将来のことをワクワクしながら考えられるようになりました。その順番を、あなたにも体験してほしいんです。「引っ越しの仕分け、自分の場合はどうすれば?」と迷ったときは、一人で抱え込まずに、どうぞお声がけくださいね。焦らなくて大丈夫。一緒に考えていきましょう。
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