【この記事でわかること】
- 新NISA にも元本割れのリスクがある
- 新NISA は損益通算ができない
- 「資産形成をする目的」を決めておこう
トリヤ 【この記事の執筆者】
・独立系FP事務所を運営
・金融ライター実績多数
・FP上級資格CFP/FP1級技能士 保有
・資産形成の大切さを伝えたい
2024年から 新NISA が始まりましたね。最近では、 新NISA に向けた情報が発信されていて、真剣に投資を始めたいと考えている方も多くいらっしゃるかと思います。
ただ、いざ 新NISA を始めようとしても、「損しそうで怖い‥」「デメリットはないの?」とついつい不安な思いに陥りがち。
そこで本記事では、 新NISA の注意点や知っておきたいことを、4選ご紹介します。投資をスタートさせる前に不安を解消しておきましょう。
目次
新NISA はやらないほうがいい?
まず結論ですが、 新NISA はやったほうがいいです。とくに現役世代の人であれば尚のことだと考えます。
税金がかからずに(非課税で)運用でき、18歳以上であれば誰でも利用が可能です。新NISA については、ぜひこちらの記事でご確認ください。
やらないほうがいいと言われる理由【4選】
「投資初心者の人が 新NISA を始めると損をするよ!」
たしかに 新NISA にもいくつかデメリット面はあります。この章では、やらないほうがいいと言われる考えられる理由について4選、見ていきます。
1.元本割れのリスクがあること
新NISA では、元本割れをするリスクがあります。
元本割れとは、投資した元手となる金額(元本)よりも価格が値下がりするリスクのことです。当然ながら、株価(株式市場)は休日を除いて価格が上がったり下がったりしています。
そのため、買ったときの値段よりも上がればいいですが、逆に買ったときの値段よりも価格が下がってしまう場合もあるためです。
例えば、筆者も毎月定期的に投資信託を購入していますが、とくに最初のほうはよく買ったときよりも安くなったりすることもありました。
どんな商品であっても、投資の世界に「必ず」はないということを抑えておきましょう。
トリヤ 投資は余裕のある資金で行なうことが大事ですので、リスクに見合わない投資はくれぐれも避けましょう。
2.売却のタイミングが難しいこと
新NISA では売却のタイミングが難しいことが考えられます。
これまでのNISAは、一般NISAが5年間・つみたてNISAは20年間と非課税で保有できる期間がそれぞれ決まっていましたので、非課税で保有できる期間に併せてあらかじめ売却のタイミングを計画できました。
新NISA では、永久的に非課税で保有・運用できるようになったため、利益が出ている商品を売却するタイミングが難しいことが予想されます。
どうしても利益が出ていると、ついつい欲がでがち。
私自身も「もう少し持っておいたほうが上がるかもしれない‥」と、何度もタイミングを見計らった経験があります。今でもよくあります(笑)
そこでおすすめなのが、自分自身のなかで、「何のために投資をしているのか?」という目的をしっかりと持っておくことです。
お子さんの教育資金、老後の備え、将来の遊行費など、投資する目的は何でも構いません。ある程度の軸さえ明確にしておけば、売却のタイミングで大きな失敗を防げるでしょう。
3.損益通算できないこと
これまでのNISAと同じく、 新NISA でも損益通算はできません。
損益通算とは、投資の取引で損失を同じ年で利益が出た分と合算させて税金の負担を減らす方法のことです。
例えば、2023年に2社で株取引を行なったとします。
<A社> 特定口座 ▲10万円の損失 <B社> 特定口座 5万円の利益
このとき、B社の特定口座で利益が出た5万円分に対して、本来の約20.315%の税金(譲渡所得)がかかってしまいます。
ですが、確定申告の際に(2023年)昨年分の損益通算をすると
▲10万円の損失(A社 特定口座)-5万円の利益(B社の特定口座)= ▲5万円
となり、この年は税金がかからなくなるのです。
イメージでいうと、本来であればB社で儲けた5万円の利益に対して20.315%の税金がとられますが、損益通算を行なうことで▲5万円の赤字となり、取られていた税金が還付されると思ってください!
しかし、 新NISA ではこういった損益通算が認められていません。これは、もともとの NISA 制度が税金がかからない(非課税)の優遇となっているためです。
ちなみに、株で損失となった分は、翌年以降の利益などから最長で3年間控除することが可能で、これを繰越控除といいます。(※上記のケースでいうと▲5万円は最長3年間利益から控除可)。
もしNISAで損をしてしまっても、損益通算は使えないことを知っておきましょう。
4.自由度が増えたこと
新NISA は1人あたりの非課税枠が最大で1,800万円(年間360万円)まで使えるようになりました。そのため、これまでよりも自由に使える非課税枠が増え、かえって使い方に困るケースなどです。
中には無理してでも非課税枠を埋めようする場合も想定されます。
売買のタイミングは、当たり前ですが自分自身で判断しなくてはなりません。くれぐれも売買はしっかりと考えて行なうようにしましょう。
お金に余裕がなければ 新NISA はやらないほうがいい?
結論、 いま現状お金に余裕がなくても 新NISA はやるべきだと考えます。
そもそもですが、NISAとは少額投資非課税制度と呼ばれており、毎月100円から、あるいはポイント投資などでも始められるのが最大のメリットです。
そして今回の 新NISA の改正は、国民の安定的な資産形成のさらなる普及を目的として作られています。
新NISA を活用しながら、将来に向けて毎月コツコツ積み立てを行なうだけでも、将来的に雲泥の差が生まれることは明白です。
日本は税金が高い国だということは皆さんが感じているところかとは思いますが、将来の運用で儲けが出た分の利益に対して、税金がかからないというだけでもその恩恵は大きいでしょう。
新NISA の相談窓口には注意点も
新NISA を始めるにあたって、証券会社だけでなく銀行での口座開設を勧められることも多いかと思いますが、相談窓口を受ける際には注意も必要です。
窓口で商品を購入することで、手数料コストが余計にかかってしまいます(これは販売にあたって人件費がかかってしまうためです)。こういったビジネスモデルを否定しているわけではありません。
また、窓口などでの対面での販売サービスは、特定の商品を販売しており、自分ですべて行なうネット証券と比べ商品ラインナップが偏っていることなども考えられます。
もし、なるべく手数料を抑えたいのであれば、購入手数料も安く取扱い商品も豊富なネット証券での口座開設がおすすめです。もし、投資を始めるにあたってどこの口座を開こうか迷っているのであれば、こちらをご参照ください。
さいごに
「今はお金がないからもう少し余裕ができたら始めよう‥」
確かにそれはそうなのかもしれません、でも本当にそれでいいんでしょうか?
私はこれまでFPとしていろいろな年代層の方と資産形成についてのお話をしてきましたが、「後でやる」というケースは期間を決めさえしなければ、ほとんど前に進みません。
少しいい方が悪いかもしれませんが、団塊世代の方やそれよりも少し前の方は、老後になっても逃げ切れるかもしれません。
ですが、20代、30代はそうはいきません。国の本音は、資産形成をするための制度は作ってあげるから「あとは自分たちで勝手にやっといてね」なんです!iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型DCが良い例でしょう。
ぜひ本記事のデメリット面も参考にしながら、 新NISA を活用した長期的な資産形成を始めてみましょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。(※くれぐれも投資は自己判断のもとで行なわれてください)