【確定拠出年金】2026年1月から5年ルールが撤廃に!税負担を最小限にするための賢い受け取り方

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目次

この記事でわかること

こんにちは。ファイナンシャルプランナーのバードです。

2026年1月から、確定拠出年金の受け取り時における5年ルールが改正されることになりました。「受け取り方をどうしよう」「少しでも税金の負担を抑える方法はないの?」とモヤモヤされている方も多いのではないでしょうか。

確定拠出年金は、運用と同じくらい最後の受け取り方が大事だと言われます。これは決して大げさな話ではありません。受け取り方によって数十万円、人によっては100万円以上の税金が変わる可能性もあるのです。

この機会に、ぜひ自分にあったお得な出口戦略プランを見つけてみませんか?

バード

【記事を書いた人】
・独立系FPの事務所を運営
・金融ライター実績多数
・上級資格CFP®/FP1級技能士保有
・投資歴10年目

本日のもくじ

  1. 5年ルールが10年ルールへ改正
  2. 出口戦略:3つの受け取り方をおさらい
  3. 退職金と確定拠出年金を一括で受け取る際の税金の計算方法
  4. 先に退職金を受け取り、その後確定拠出年金を受け取る場合の特例
  5. 税負担を抑えるための対策3選

確定拠出年金の加入者は約5人に1人

企業型DCと個人型iDeCo

確定拠出年金には、企業型DC(確定拠出年金)と個人型iDeCo(イデコ)と呼ばれる2つがあります。

加入者数の現状

  • 企業型DCの加入者:830万人超
  • iDeCoの加入者:約373万人
  • 合計:1,200万人以上(全体の5人に1人以上)

年代別の加入状況

  • 企業型DC:40歳から59歳が全体の56.1%
  • iDeCo:40歳から59歳が全体の69.3%

50代で受給時期が近づいている方や、40代後半でそろそろ出口戦略を見据えたいという方が多いことが分かります。

5年ルールの改正について

改正前の5年ルール

そもそも5年ルールとは、企業型DCあるいはiDeCoを先に受け取って5年間空ければ、退職金を受け取る際にも控除を使えて税金を抑えられるというルールでした。

改正前の例:

  • 60歳で企業型DCを受け取り
  • 65歳で退職金を受け取る → これなら定年が65歳であれば可能な場合もありました

改正後の10年ルール

見直し後は、60歳で企業型DCを受け取って、70歳で退職金を受け取ることになるため、10年空けることが必要になります。これは現実的ではありません。

基本的に退職金は自分で受け取るタイミングを選べないため、現時点で70歳で退職金を受け取るのは難しい方が大半です。

これがSNSで「iDeCo解約」と言われている理由の大きな要因の1つですが、実質的には5年ルールそのものが改正になったという意味合いの方が正しいと言えます。

もう1つのルール:19年ルール

先に退職金を受け取った年から、その後次の退職金(企業型DCなど)を受け取る際に19年空けると、勤続年数の重複期間を考えずに退職所得控除を使えるというルールです。

例えば、早期退職などで先に退職金を受け取り、その後企業型DCやiDeCoを60歳以降に受給する場合に、19年ルールが適用されます。

つまり、iDeCoと退職金を別々に受け取る際にそれぞれで退職所得控除をフル活用するという抜け道は、実質的に塞がれたとも解釈できます。

企業型DC・iDeCoの3つの受け取り方法

1. 年金として分割で受け取る方法

分割で受け取る場合、収入は雑所得となり、公的年金等控除の対象となります。

雑所得の計算例: 60歳で企業型DCを年金形式で年間150万円(月12万5千円)受け取る場合:

  • 150万円 × 0.75 – 27万5千円 = 85万円
  • この85万円に対して課税されます

受け取り期間:

  • 60歳から75歳の間で受け取る必要がある
  • 受け取る期間は5年から20年の範囲で決められる

メリット: 受け取る間も運用を継続できる

注意点:

  1. 収入に応じて税金や健康保険料などの負担が高くなる
  2. 収入に応じて医療費の窓口負担が増える可能性がある
  3. 年金形式での受け取りは1回あたり給付事務手数料が440円かかる

特に注意すべきは、同じタイミングで年金を受給したり年金以外の収入がある方です。iDeCoなどを年金で受け取る分だけ収入が増えるため、税金や社会保険料の負担が増える可能性があります。

また、70歳以降の年金収入が370万円を超えると、現役並所得者とみなされて医療費の自己負担割合が3割となってしまいます。

朗報:手数料無料化の動き りそな銀行は2024年7月に、iDeCoでの年金受け取りの手数料を無料としました。これは業界初の取り組みで、今後業界全体で年金給付の手数料が安くなる動きになれば、より年金受給もしやすくなると期待されます。

2. 一部を一時金、残りを年金として受け取る方法

金融機関によっては、一時金と年金を組み合わせて受け取ることも可能です。

3. 一時金として受け取る方法

一括での受け取りには退職所得控除が適用されます。

受け取り状況
運用管理機関の資料によると、企業型DCやiDeCoを一時金で受け取っている方は全体の94.3%と、大半の方が一時金での受け取りを選んでいます。

退職所得控除の計算式

  • 20年以下の場合:40万円 × 勤続年数
  • 20年超の場合:800万円 + 70万円 ×(勤続年数 – 20年)

期間が長ければ長いほど控除枠が優遇される仕組みで、控除枠が多ければ多いほど税負担が減ります。

退職所得控除は、実は最も優遇されている所得控除です。理由としては、退職金は大事な老後の生活費なので、なるべく優遇しようという考えによるものです。

ただし、今回の5年ルールの廃止など、今後この退職所得控除のルールにメスが入る可能性もあるため、引き続き注意が必要です。

【退職金+企業型DC】同時に一括で受け取り時の税金の計算方法

ケース1:60歳で退職金と企業型DCを同時に一括受け取り

前提条件

  • 勤続年数:30年(30歳から60歳まで)
  • 退職金:1,200万円
  • 企業型DC:800万円(40歳から60歳までの20年間積立)
  • 合計:2,000万円

計算手順:

  1. 退職所得控除の計算(勤務年数の長い方を適用):
    • 800万円 +(30年 – 20年)× 70万円 = 1,500万円
  2. 課税対象額:
    • (2,000万円 – 1,500万円)× 1/2 = 250万円
  1. 所得税:
    • 250万円 × 10% – 9万7,500円 × 102.1%(復興特別所得税)
    • ≒ 15万4,300円
  2. 住民税:
    • 250万円 × 10% = 25万円

税額合計:約40万4,300円

ケース2:先に退職金、その後企業型DC・iDeCoを受け取る場合

前提条件:

  • 22歳から40年間勤務
  • 62歳に定年退職、退職金2,000万円を受け取る
  • その後も働きながらiDeCoの積立を続ける
  • 64歳にiDeCoを一時金として350万円受け取る

計算手順:

  1. 退職金受け取り時の退職所得控除:
    • 800万円 +(40年 – 20年)× 70万円 = 2,200万円
    • 退職金2,000万円 < 控除額2,200万円 → 非課税
  2. みなし勤続年数の計算:
    • (2,000万円 – 800万円)÷ 70万円 + 20年 = 37年
    • 実際の勤続年数40年が37年に短縮され、重複期間の調整が行われる
  1. iDeCo受け取り時の退職所得控除:
    • 積立期間:12年3ヶ月 → 切り上げて13年
    • 40万円 × 13年 = 520万円
  2. 重複期間:
    • 7年3ヶ月 → 切り下げて7年
    • 40万円 × 7年 = 280万円
  3. iDeCoで使える退職所得控除:
    • 520万円 – 280万円 = 240万円
  4. 課税対象額:
    • (350万円 – 240万円)× 1/2 = 55万円

このケースでは、退職金受け取り時は非課税、iDeCo受け取り時の55万円に対して課税されます。

みなし勤続年数のポイント

  1. 退職所得控除を使い切れていない場合、みなし勤続年数により重複期間が短縮され、2回目に一時金で受け取る際の税負担を抑えることができる
  2. 計算における端数処理:
    • 退職所得控除の計算:1年未満は切り上げ
    • みなし勤続年数の重複期間の計算:1年未満は切り下げ
    • どちらも納税者にとって有利なルール

ケース3:途中退職後、運用指図者となる場合

前提条件:

  • 30歳から50歳まで20年間勤務、退職金600万円
  • 企業型DCは40歳から10年間積立
  • 退職後は運用指図者となり運用のみ行う
  • 60歳で企業型DCを一時金1,000万円で受け取る

計算手順:

  1. 退職金受け取り時:
    • 退職所得控除:40万円 × 20年 = 800万円
    • 退職金600万円 < 控除額800万円 → 非課税
  2. みなし勤続年数:
    • 600万円 ÷ 40万円 = 15年
    • 業務開始年齢30歳 + みなし15年 = 45歳に調整
  3. 重複期間:
    • 10年間 → 5年間に短縮
    • 40万円 × 5年 = 200万円
  4. 企業型DCの退職所得控除:
    • 40万円 × 10年 = 400万円
    • ※運用指図者の期間は退職所得控除の期間に含まれない
  5. 利用できる控除額:
    • 400万円 – 200万円 = 200万円
  6. 課税対象額:
    • (1,000万円 – 200万円)× 1/2 = 400万円
  1. 所得税:
    • 400万円 × 20% – 42万7,500円 × 102.1% ≒ 38万300円
  2. 住民税:
    • 400万円 × 10% = 40万円

税額合計:約78万300円

税負担を抑えるための対策3選

対策1:定年後にiDeCoで最低額の月5,000円積立を行う

メリット: iDeCoで積立を行うことで、1年間で40万円の退職所得控除枠を増やすことができます。

60歳以上で定年退職した時のDC資産の選択肢

  1. 企業型DCから給付を受け取る(裁定請求)
  2. iDeCoに資産を移管する

企業型DCの資産を半年以上放置すると、国民年金基金連合会に自動移管されてしまい、運用もされずに手数料だけが差し引かれる状態となります。これは非常にもったいないです。

退職してすぐに企業型DCを受け取らない場合は、iDeCoへ資産を移管することが必須です。

iDeCoへ移管する際の選択肢:

  1. 運用指図者:新たに積立はしないが運用を続ける
  2. 加入者:積立を続けながら運用も継続する

定年後も厚生年金に加入し、再雇用あるいは嘱託の社員として働く予定の方は、iDeCoで最低月5,000円を積み立てるのも一つの選択肢です。

受給時期: 60歳でiDeCoに加入した場合、最短で5年後の65歳から受給可能です。

注意点: 企業型DCの加入中の運用コストは会社が負担してくれますが、iDeCoへ移管すると運用コストは全額自己負担となります。なるべく手数料コストが安い金融機関を選ぶことが大事です。

対策2:iDeCoをつなぎ年金として活用する

iDeCoを分割で受け取りながら、その期間に公的年金を繰り下げて増額する方法です。

公的年金の繰り下げによる増額率

  • 受給開始を1ヶ月遅らせるごとに0.7%ずつ増額
  • 68歳まで繰り下げ:25.2%増
  • 70歳まで繰り下げ:42%増
  • 75歳まで繰り下げ:84%増

この戦略が向いている

  • 60歳から70歳までの生活費や退職金を貯蓄で賄える方
  • 70歳近くまで働く予定で安定した給与収入がある方
  • 健康に自信があって長生きする予定の方

メリット: iDeCoと違って公的年金は終身なので、少しでも繰り下げることで、この先ずっと増額された年金を受け取り続けられます。

注意点: 65歳時点でそれなりの年金がある方が繰り下げをしすぎると、年金額がかなり上がるため、税金や社会保障費がその分高くなる恐れがあります。

対策3:年金と一時金を併用して受け取る

企業型DCやiDeCoの一部を一時金、残りを年金形式で分割受け取りすることが可能です。

最大のメリット: 退職所得控除と公的年金等控除の2つの控除枠をフル活用できます。

活用例: 退職所得控除枠が使える範囲内で一時金として受け取り、60歳から65歳までの5年間は年金で受け取ることで、公的年金等控除の枠を全て企業型DCに当てることができます。

注意点: 併用での受け取りに対応している金融機関のみとなるため、事前に自分が運用を行っている運用会社に確認が必要です。

まとめ

改正のポイント

  • 10年ルール改正は現時点であまり気にしない:現実的に難しいため
  • 退職所得控除は長いほど優遇:20年以下は40万円、20年以上は70万円
  • みなし勤続年数の特例措置:先に退職金を受け取った際に退職所得控除を使い切らなかった場合、重複期間が短縮される

出口戦略の対策

  1. 定年後にiDeCoの積立:最低額5,000円でもOK。1年あたり40万円の退職所得控除枠が増える
  2. iDeCoをつなぎ年金として活用:iDeCoを年金形式で受け取る間は、公的年金の受給開始時期を繰り下げる
  3. 一時金と年金受け取りを併用:退職所得控除と公的年金等控除をダブル活用し、税負担を最大限抑える

確定拠出年金の受け取りは複雑で、何百種類ものケースがあります。何歳まで働くのか、老後はどんな風に生活したいかというお考えも合わせながら、お得な受け取り方を模索してみてください。

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本日もお読みいただき、
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この記事を書いた人

FPの流儀のアバター FPの流儀 有限会社バード商会

「バード商会」はもともと私の父の会社です。
バードは、大空を自由に飛ぶラッキーモチーフの象徴ともいわれています。
私と携わってくださる人の家計が「ほんの少しでも豊かになるように」という想いを込め、バードという社名を引き継ぎFPとして相談業務、ライフプランの作成、執筆業務等を行なっています。
皆さまの家計に、経済的な自由(Freedom)と幸運(Prosperity)を提供できるよう尽力して参ります。

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